心理測定の最近のブログ記事

SPSS Statistics 21: マージ

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昨年末からSPSS Statistics 21を使っています。

バージョン19よりは、表示スピード等も速くなっている印象。

ただ、データの結合に関して少々問題?があった。

今までの勢いで、データをマージしようとしても、
なぜかうまく行かない。
(最終行のみマージされる・・・)

いろいろ調べていたら、

マージの設定をするところで、
 
「キー変数の一致ケース」にチェック だけだとこの現象が生じるみたい。

その下に新たに(?)ある
「ケースは2つのデータセットのキー変数の順序でソートされます」
にチェックを入れることで解決。

このチェックは何なんだろうか、、、
チェックをしない場合 というのが 想定しにくいです。



尺度の妥当性

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今日のミーティングで考えたこと。


QOL尺度の研究・開発をしています。

医学系だとGold Standardとなりうるものが存在する(しやすい)ので、
尺度開発をしていても面白い瞬間に出会えることがあります。

Gold Standardは、絶対的な基準ということですが、
例えば血液検査のマーカー等があります。

開発している尺度の得点と、
その患者さんの状態を反映する血液検査の結果とが
関連していて、解釈可能であれば、尺度の妥当性が示されたということになります。

尺度開発をしている立場、研究の立場からすると
尺度の得点とGold Standardが強く関連していれば良い結果なのですが、
実際に臨床現場の立場に立つと、良いことではないんです・・。

なぜかと言えば、尺度に回答を求めるということは
それだけで十分な手間、負担がかかります。
なのに、そこから得られる結果が、血液検査の結果とほぼ同じということに
なると、誰もその尺度は使ってくれません。

かなり大きなジレンマです。

理想的なのはGold Standardとは、そこそこの関連を持ちつつも、
Gold Standardとは別のものを測定している尺度でしょうか。

もっと言うと、「有益な別のもの」を測定しているという尺度が
良い尺度かなと。

心理学分野の尺度開発においても、同じことが生じます。

粗い言い方をすれば、
A尺度を開発していて、類似のB尺度との相関が高いということは、
B尺度を使えば良くて、A尺度を開発する必要はないよね・・・
ということになります。

今更ながら改めて難しさを実感しているところです。





うーむ

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以下、個人的意見です

毎度の学力調査ネタです。

先週、今年度の結果が発表されましたが
いろいろなところで波紋を呼んでいるようです。

文科省も結果を公表するなら、
正しい解釈の仕方をちゃんと指導するべきだと
思うのですが。

今回取りあげるのは、これ。

○阪府の順位が悪い
→対策をとるべきだ

という、記事を見ました。

対策? 

どうやら、

PISAに対応した学力の育成を挙げ、「先生方の熱意が効果を発揮するシステムを作れば○阪でも不可能ではない」との見方を示した

らしいのですが・・・

ちょっと考えてみると、

テストで良い点をとるために、勉強する?
 → まだ、これは良い?

全国学力テストで良い点をとるために、勉強する
 → 全学学力テストが、すべての学力をちゃんと測   定できているならそれもありか?

そもそも、TIMMSで考えている学力と、全国学力テストで考えている学力、高校受験・大学受験のための学力、生きるための?学力 すべて定義が違うのです。

英語力といったって、英検の考える英語力、TOFLEの考える英語力、TOEICの考える英語力、コミュニケーションの英語力すべて違うのと同じです。

学力とひとくくりにするから、
的外れな議論になっているような気がしてなりません。

☆完全に個人的意見です


完全に勉強不足でした

ここでもたびたび扱っている全国学力テスト
どうやら毎年問題が違うようです

毎年問題は同じだと思い込んでいました・・・
というか、あり得ない・・

今日の●経新聞、大見出しで
「学力テスト 正答率低下」
「全科目で8-16ポイント」
とあります。

無駄ですからこの比較
なにやってるんだろうか・・・

まぁ、都道府県別の比較は問題ないので
そのあたりは良いのですが

あまり批判ばかりしてもしょうがないのですが
これは・・・ねぇ

とあるニュースを見ました。
特定されると、まずいので
ぼやかしますが・・お許しください。

外向性や忍耐力などを測定することは
可能なのでしょうか。

心理学では、
こういった目に見えないものを測定します。

どうやって測定するかというのは、
前にも書いた気がするので省きますが、
測定した結果はどう使われるのでしょうか。

測定には誤差がつきものです。

体重を測定する体重計が壊れていれば
まぁ誰もが「この体重計は壊れている」と
いえるでしょうが、
心理測定ではそうはいきません。

測定道具が壊れていても
誰にもわからないのです。

そのニュースで扱われていたものは、
誤差をちゃんと考慮できているのだろうかと
心配になりました。

点数(得点)として、オモテに出た瞬間
そこからその点数が一人歩きし始めます。

個人の処遇に影響するような測定の場合
かなり慎重にその測定にはどのくらいの
誤差があるかを知らなければなりません。

ああいったもので不利益を被る人が
いないことを祈ります。

最近、自分のやっている仕事でも
こういった心配をしなければならないものが
あるので、気になっていることです。

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またまた間隔が空いてしまいました。
6ヶ月ですか・・・

この間に職場が変わりました。
そして新しい職場にもだいぶ慣れてきました。

今回、計画3年?執筆3ヶ月?の本が出版されました。

心理学や調査系の論文の読み方に関する本で、
想定した対象は初めて論文に触れる学部生です。
(大学院入試対策にも使えるかも・・・)

また、社会医学系(尺度開発等)の論文を読む際、
尺度選択にも参考になるかもしれません。

本は、

サンプル論文
 →論文の解説
  →そこで使われている統計手法の解説

という流れになっています。


尺度水準の話、調査法の話、
因子分析、t検定、分散分析、回帰分析・・・

現在頻繁に使われている分析手法の原理とその解釈、
論文に記載されている数字や記号の読み方を
解説しました。

因子分析の後に相関係数の説明があるという
統計の本としてはありえないものに
なっています(^_^;)

一度お手にとってみてください。

心理学・社会科学研究のための 調査系論文の読み方
浦上 昌則・脇田 貴文
東京図書


なお、サンプル論文は東京図書のホームページから
ダウンロードできます。
http://www.tokyo-tosho.co.jp/books/ISBN978-4-489-02038-4.html

正直、論文と対応させて解説を読む時には
ページを何回もめくる必要があるので大変です(^_^;)

ダウンロードしてプリントアウトしたものを
横において読んで頂ければと思います。



早速ミス発見・・・本当にすみません。
恥ずかしいかぎりです・・

http://www.tokyo-tosho.co.jp/books/ISBN978-4-489-02038-4.html

の1番下に訂正表があります。

以下、完全に個人的な意見です。

大学進学者の学力点検、中教審が新テスト提言
         (読売新聞 - 01月23日 14:34)

>  今後の大学入試のあり方を検討している「中央教> 育審議会(文部科学相の諮問機関)」大学分科会の> 作業部会は、大学進学を希望する高校生を対象に新> たに「高大(高校・大学)接続テスト」(仮称)の> 新設を求める提言をまとめた。

なるほど。

> AO入試や推薦入試の普及で筆記試験を受けずに入> 学する大学生が約4割に上る中、何らかの形で全国> 共通の学力テストを行わなければ、大学合格者の学> 力を維持できないと判断した。現行の大学入試セン> ター試験とは別に実施し、AO入試などに活用する> ことも提案している。

個人的には賛成です・・・

大学で講義をしていたり、
他の先生の話を聞いているとると、
必要性はあるかもという気がしてきます。

ただ、

>  大学分科会の作業部会が創設を提案している「高 > 大接続テスト」は、結果をAO入試や推薦入試の合> 否判定に使うほか、高校での指導にも役立てられる> よう、高校2〜3年の早い時期に実施することを想> 定。テストの詳しい実施方法や活用の仕方は、さら> に高校、大学両関係者が研究して詰めることを求め> ている。

うーん、これはちょっとなぁと。

高2〜高3の早い時期にこういったテストが
あるとすると、その対策を必ずはじめるでしょうね。
学校なり塾なり。
AO入試や推薦入試の合否判定に使う
としたらそうなりますよね。

ということは、高校1年生から受験勉強?という
ことにもなりかねないのではないでしょうか。

進学校では現時点でもそうかもしれませんが
それが広まるかもしれません。

そうすると高校生活って何なんでしょうか。
勉強するだけ?しかもその勉強は教科科目。
部活はダメ?
文化祭とかの行事もショボくなるかも。

実は今日、共同研究をしてきた所との
打ち合わせでこういった関係の話を
いろいろしてきました
(あまりにもタイムリーでびっくり)

実施時期が大問題だと思います。
センターと同じ時期ならありかなという気もします。
そうするとAOには使いにくいか・・・

あとは、高校卒業生と現役生との調整は
どうするのでしょうか。
高校卒業生が受験する時に使う得点は
1年以上前のものということになる?

そして、どういった科目をやるのかというのも問題。

英・国・数といった科目でやるのか、
法科大学院とかのように適性検査系でやるのか。

後者だと目的からはずれるでしょうか。
となるとやはり前者。

基礎的な事項のみ単問で聞くとか?

マークだと、センターと一緒か・・・

ちょっとはずれた測定屋としては
本当にこういうテストが実施されるのであれば
かなり興味があります。
(これから受験をする人には申し訳ないですが)

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質問紙調査に関する本です。
7章、11章を担当しました。

7章 質問項目の作り方に関しては
かなり個人的な意見も書かせてもらいました。


よろしければお手にとってみてください。


/ ナカニシヤ出版(2007/11/21)
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4月から放置してしまいました

この間、いろいろあって
SASをいじったり(今やSPSSより使用頻度が高い)
若干の医学知識が身に付いたりしています。

タイトルがちょっとキザ?とも思ったのですが、
現在、取り組んでいることです

某高校の教育プログラムの評価部会のメンバーに
なっています。で、周りは質的な研究をされる先生
達で、量的な研究をしているのは僕だけでしょうか。

僕に与えられた役割は、
教育介入をすることで
生徒の目の輝き(そのものに対する興味・関心や
動機づけ)が増すということを
示すことができるようなツールを開発すること。

これ非常〜〜〜〜に難しい。
というか、適切&精度良く測定することは
ほぼ不可能?とさえ思えてきます。

尺度項目を作ることはできても
それに対して生徒さんがどう答えてくれるか。
そこで生じるバイアス(社会的望ましさ)というものが大きすぎるのです・・・

少なくとも教室で、担任の先生が配布して・・・と
やっている状況ではその傾向がかなり強くなってしまいます。

社会的望ましさを取り除いたり
調整したりすればよいという考え方も
あるのでしょうが、個人的には
これもほぼ不可能だと思います。

古典的テスト理論での

 観測得点 = 真の得点 + 測定誤差

というモデルに照らせば、

 社会的望ましさ は 測定誤差に含まれると
考えられます。

 観測得点−測定誤差=真の得点
 
とすれば、真の得点を求めることもできるのでしょうが・・・

 数字上でどんな調整をしたとしても、
それが「正しい」ことを証明するなんてことは
不可能です。
「数字の遊びになってはいけない」のです

 ↑
昔、心理学を学び始めたころに聞いた言葉
(どの授業だったか、先生だったかは
覚えてないのですが、かなり印象に残っています)

ということで、個人的には
社会的望ましさの影響を受けにくい尺度
を作成したいと思うわけです。

でも、それもまた ムズカシイ・・・

学力テスト中止求め仮処分申し立て 京都の児童、生徒9人 4月16日20時50分配信 京都新聞 以下下線部引用。

全国学力調査に、質問紙調査も入ってるのですね。
知りませんでした。

以下、学力テストではなく、質問紙調査の内容についてです。

「生活習慣や学習環境について問う「質問紙調査」も行う。氏名か、個人特定に結びつく番号を記入させ、採点や集計は民間業者が行う。」だそうで。

「文科省が昨年末に実施した予備調査では、質問紙調査に「自分は家の人から大切にされているか」「先生から認められているか」などの項目があった。」 → これらは削除されたみたいですね

質問紙を作る時には本当に注意が必要です・・・。
作成側の気持ちも分かるだけだけにね・・・(笑)

賛否両論あるとは思いますが、個人的にはすべての項目を公表して欲しいところです。
(どこかでしているのかな?)

小学校はB社、中学校はND社ですか・・・
前者は分かるけど、後者はそういうことやっているのでしょうか。
あくまで推測ですが、どちらもB社が作っているような・・・

独立して制作しているとすれば、小学校・中学校で項目が異なって比較ができないだろうからそれはそれで問題か。

そして、どういった分析をするのか、
どんな形で結果を公表するのか非常に興味深いところです。

実施要項をよく知らないですが、
個人個人の得点を返すことはしない?
クラスの平均、SDを担任に返す?
学校単位?地域単位?

文科省のページによると

匿名性は守った上で?個人の結果を返すようです。
学力テストはまぁいいとして、区別して書かれていないようなので。
これ質問紙部分はどうなのでしょうか。

これもまた興味深いところです。

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