wakita: 2004年8月アーカイブ

最近疑問に思っていることです。

心理尺度を作るときに因子分析を用いるのはいいのですが,
因子分析は1度だけでいいのかどうかという問題です。
この言い方だと誤解を招きそうですね・・・

うまく説明できないのでダメなのですが・・・

何かの尺度を構成するとします。

まず,項目を集めてきて,調査を実施し,
因子分析にかけて因子を見つけ出すという
作業が行われます。

で,理論的にも内容的にも「○因子で解釈
できそうだ」ということになって
下位尺度が構成されるわけです。

これは通常の尺度構成の
プロセスだと思います。

で,ここからが問題なのですが,
通常の尺度構成はここで終わって
しまうんですよね。

何が言いたいかというと,
さらに下位尺度ごとに因子分析を行って,
1因子性を確認する必要はないのか?
ということです。

有名な○ig Five尺度も60項目まとめて因子分析をすると
ほぼ想定される5因子が出てくるのですが,
下位尺度のみで因子分析をかけると
2因子になってくる下位尺度がいくつかあります。

図で書くと

          ○ig Five
    /   |  |  \   \
  factor1 factor2 factor3 factor4 factor5
  /  \
fac1_1 fac1_2

という感じです。

これっていいんでしょうか・・・??

下位尺度ごとでは1因子性が
成り立っているべきではないでしょうか。

とはいえ,実際の所よく分かりません。

ご意見等お待ちしております。

テーマは,“変化”と言えばいいのでしょうか。
“項目の意味”かな・・・

何かの発達的な変化を見る場合など
同一尺度を複数の時期(段階)で測定して
その得点の変化を捉えようとすることがよくあります。

尺度得点を比較することの妥当性は置いておくとして,
今回は尺度そのものについてです。

何でもそうだとは思いますが,理想と現実は違います。

こんな質問紙をやりたいけども,項目数が多くなってしまうから
減らさなければ,とか別の変数も入れたいんだけど・・・などなど
2年前に修論書いているときは,このジレンマに悩まされました。

理想と現実・・・

で,僕がここで書いていることはあくまで理想です(^_^;)

今回は尺度の因子分析(特に因子数の決定)についてのネタです。

最近,周りの人(院生)と考え方が違うことに気づきました。
何が違うかというと
 自分で作成した尺度を分析した結果が,
 固有値の減衰状況から判断して1因子と考えられる場合

    僕 : (^_^)v
 多くの人: (-_-)

という反応をするということ。

こんなことを言っている僕自身も学部時代は,後者だったのですが
IRTをやり始めて前者になりました。
(通常のIRTでは1因子性が仮定されているので・・・。
  1因子性が成立,且つ,項目数が多くないといけない)

じゃぁ,1因子だとなぜまずいか,といえばその後の分析が
単純になってしまって,やりづらくなるからでしょうね。
 例えば,重回帰分析を想定していたのに,単回帰で事足りてしまうということです。
だから,複数因子の構造を持つように多少無理をしてでも,
複数の因子を仮定し下位尺度を作るわけです。

これが,再度データをとったときに因子構造が変わってしまうとか,
後々,多重共線性の問題とかを引き起こしてくるんですけどね。

そもそも3項目,4項目といった項目数で何かを測ろうとすること
自体無理があると思うのですが・・・

研究テーマを見ていただければわかると思いますが,
僕は心理測定に関して偏った?考え方を持っています。
陰で言うよりはOpenに議論した方がいいような気がするので,
批判を受けること覚悟で書いていきます。
ご意見等は,bbsやmailでお願いします。


なぜ評定尺度の間隔なんていうテーマをやっているかというと・・・
学部の卒論がきっかけです。
学部時代,初めて心理尺度に出会って,
これでヒトの心理が測定できるなんてスゴイと思いました。
で,卒論では対人的コンピテンス尺度なるものを作成しようと
したわけですが,見事に失敗。
これが,尺度に対する疑念の始まりでした。

心理の世界では,尺度ファイルなんていう本が出版され,
かなりの売れ行きになっています(たぶん売れています)。
共感性尺度,孤独感尺度,Love-Like尺度・・・数えればキリがありません。
しかも,厄介なことに同じような概念であっても別の尺度が存在するという状況があります。
つまり,尺度が氾濫している状況だと言えます。

通常(理想的には),尺度を作成する際には,
さまざまな妥当性,信頼性などの検討をする必要があるわけですが,
これらが十分になされている尺度は少ないのではないでしょうか。

項目収集→調査実施(作成する尺度・基準連関妥当性確認のための尺度)→
作成する尺度の因子分析→作成する尺度と確認のための尺度との関係を検討

これで,尺度完成!としている尺度が多いような気がします.

そのうち書くと思いますがサンプルの偏りの問題とかもあります。

本当にそれでヒトの潜在特性が測定できているのでしょうか?

そして,その尺度を利用して得られた結果って...


とはいえ,モデルとかの理論的な部分は優れているんでしょうけどね.