以下の記事がYahoo!ニュース(読売新聞 2005/7/25)に出てました。
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●将来に不安、高齢者の約7割
60歳以上の67・9%が将来の日常生活に不安を感じていることが、内閣府が25日に発表した「高齢者の日常生活に関する意識調査」で明らかになった。
�@ 現在の日常生活には、82・5%が「満足」と答えたが、前回より3・1ポイント減った。
�A 将来の生活に不安を感じる人は「とても」が14・1%、「多少」が53・8%だった。
不安の内容(複数回答)は前回同様、
「自分や配偶者の健康や病気」(71・7%)が最多で、
「自分や配偶者が介護が必要になる」(51・8%)が続いた。
「生活のための収入」は31・3%で5・0ポイント増え、
「だまされたり、犯罪に巻き込まれて財産を失う」も6・1%で3・6ポイント増加した。
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具体的な調査の内容は分かりませんが
�@の現在の日常生活についての質問は
「満足していますか?」
�Aの不安についての質問は
「不安がありますか?」
と聞いているのだと思います。
で,
�@を「満足していないですか?」
という尋ね方をした場合,満足していると答える人はもっと減ると思います。
�Aを「安心ですか?」という尋ね方を
した場合は不安に思う人が減ると思います。
実際に調査してみないと何とも言えませんが,
最近読んでいる論文(Gannnon, 1996)等を
ふまえるとこう考えることができます。
だからどうということはないのですが,
調査でどう尋ねるかというのは
難しい問題です。
調査者が意図した方向が
調査項目から伝わってきますから・・・
あとは,同じ調査結果でも
報道での見出しの付け方によって
印象が異なってくるでしょうね。
今回はこの調査を取り上げましたが
この種の疑問?が起こる調査は
多々あります。
学力低下問題について親に尋ねる
調査なんかにもありそうですね。
Gannnon & Ostrom 1996 How meaning is given to rating scales; The effects of response language on category activation Journal of experimental social psychology, 32, 337-360.
H16の内容は,
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h16_nitizyou/2.pdf
↑だね。たぶんこれと同じでしょう。
・日常生活全般の満足度は「満足している」「まあ満足している」「やや不満である」「不満である」。
・将来の日常生活への不安は,「とても不安を感じる」「多少不安を感じる」「不安を感じない」。
で,率直な感想なのですけれど,「満足している」「まあ満足している」「やや不満である」「不満である」の4つなら「まあ満足している」につけるかどうかはともかく,
「とても不安を感じる」「多少不安を感じる」「不安を感じない」の3つだったら真ん中に回答するでしょうねえ。
それをもって,「日常生活への満足度は高いが,将来への不安も強い」と結論づけるのはいかがなものかと。
コメントありがとうございます。
詳細な結果までありがとうございます。
調査自体は,仕方ないのかもしれませんが
結論の出し方(新聞の見出し)は
どうでしょうね。
教示文がどうだったかというのも
かなり影響しそうです