注:あくまで個人の見解であり、私が所属する大学とは一切関係ありません。
今日、中教審が「大学入学希望者学力評価テスト」の導入を答申しました。
1点刻みを止めるとか、思考力、主体性、協同性を評価すると謳われています。
この理念には賛成します。
ただ、試にとって一番重要な「公平性」が担保されるのかどうかは、かなり怪しいと思っています。
1. 評価テスト複数回実施
IRTの導入が必須だと思われますが、現在の日本のテスト文化ではなかなか難しい。
「総合型」なんて次元は大丈夫なんだろうか・・・。
本当にComputer Based Testにする?コストが・・・。
2. 外部テストの導入
本当に問題漏洩とか起きないのか?
万が一の事態が起こった時の責任はどこがとる?
そして、現在民間主体で実施されている民間のテストはそこまでハイステークステストとは
いえないと思いますが、これが入試に使われるとなれば今までのようにはいかないはずです。
IRTを用いているテストでは、問題の流出を防ぐために基本的に問題冊子が回収されています が、人の記憶まで規制をすることはできません。試験会場を退室した瞬間にSNSに問題を投稿とか、そもそも、問題を覚えてくるというアルバイトも登場してくるはずです。
カンニングしてもその試験においてペナルティが科されるだけなので、
そのリスクを冒しても・・・という人が出てきても不思議ではありません。
3. 主体性や協働力をどう評価するのか
質問紙では測定できないので、新卒採用等で行われているグループワークを課すのでしょうか。
小論文を課すのでしょうか。
そういった力を評価すること自体は間違いではないと思います。
むしろ現在の教科科目の知識よりも、大学での学びに必要なことだと思います。
しかし、客観性が担保できない・・・。複数の試験官(評価者)が評価する時点で、評価の信頼性は下がります。となると評価者は1人?これまた信頼性に疑問符が付きます。
さらに現実問題、1人の試験官が評価できる人数は知れています。
評価者を教育して、評価基準を統一すれば良いという意見も出てきそうですが、
主体性や協働力といったものは、それぞれ見方が異なるものなので、
たとえ同一人物に対する評価であっても、評価者Aと評価者Bで全く同じ評価をすることはないでしょう(もちろん全員一致でという場合もありますが)。見方が違うから面白いということもあります。
さて、現在、文科省からも、入試のミスをなくすように、公平性を担保するようにという内容の通達がきているわけですが、上記のような事柄を導入したときに公平性が担保できるのか。
もちろん入試を実施する側としては、担保できるように努力はします。しかし、それが受験生やその親、社会が納得するだけの公平性が保てるかどうか、これから数年で考えなければいけません。
そもそも、これ、、受験者の多い私大も?
そしてさらに入学定員も厳格に管理するように言われたら・・・崩壊すると思います・・・。
とはいえ、これが導入される子とは、私大にとってもピンチだと思いますが、
チャンスであるような気もしています。
注:あくまで個人の見解であり、私が所属する大学とは一切関係ありません。